手話×ITで社会を変える3 シュアール大木洵人

手話バッチ手話×ITで社会を変える3 シュアール大木洵人

起業後、最初に開発した遠隔手話通訳「モバイルサイン」の仕組みは、東日本大震災の直後も活躍した。

2011年3月11日。大学を卒業したばかりだった僕は、神奈川県藤沢市の「シュアール」本社で仕事の打ち合わせ中だった。

突然の大きな揺れ。最初は何が起きたのか分からなかったが、次第に被害の大きさが分かりがくぜんとするとともに、自分も何かできることをしなければ、とあわててパソコンを開いた。

ホームページを立ち上げ、遠隔手話通訳を無料で提供する旨を記載すると、すぐに聴覚障害者から「何が起きているのか、教えてくれ」とコールが入った。震災発生時、テレビのニュースに手話がついていなかったからだ。

最初は僕一人でコールを受けていたが、不眠不休では続けられないため、ネット上で手話通訳のボランティアを募集すると、あっという間に10人が集まった。

ロンドン在住の日本人の方も参加してくれて、国境や時間を越えるITの力とともに、ボランティアの力をあらためて実感した。

間もなくテレビの主要なニュースにも手話がついたが、東京電力福島第1原発事故で、人々は政府発表に疑心暗鬼になっていたのか、「ワイドショーで放射線量について何を言っているのか知りたい」といった問い合わせは、しばらく続いた。

ただ、肝心の被災地からのコールがないのはもどかしかった。通信手段がなかったのだろう。津波警報が聞こえず、逃げ遅れた聴覚障害者がいた、という話も聞く。

災害時、支援がなければ、声の小さな障害者や高齢者は必ず脇に追いやられてしまう。

大震災を教訓に、防災訓練で遠隔手話通訳を使ってもらう試みも、新たに始めている。

(大木洵人・シュアール代表、談)

以上は、http://tkgb.seesaa.net/article/401130055.htmlからの引用です。

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