デフリンピックwith国際手話

「デフリンピック競技大会」をご存じだろうか。4年ごとに開催される聴覚障害者のスポーツの祭典のことだ。
 夏季は1924年にフランスで、冬季は1949年にオーストリアで初めて開かれた。身体・知的障害者が参加するパラリンピックより長い歴史がある。
 スタートの合図が聴覚障害者に分かるよう工夫され、審判の指示などのコミュニケーションが国際手話で行われるが、競技のルールは五輪と同じだ。
 そのデフリンピックが今日、つまり2013年7月26日にブルガリアで開幕する。陸上や水泳など19競技に75カ国の5千人が参加。日本からは200人を超える選手団が送られた。
 兵庫県からも日本チームの指導者や手話通訳を含め15人が加わっている。姫路市職員の細見尚史さんら男女4人はサッカーの日本代表で、圏内に聴覚障害者のチームがない中で自主練習を重ねてきたという。神戸新聞紙の取材に「初めてとなる決勝トーナメント進出を」と力強く語っている。活躍に期待が高まる。
 開幕に先立って行われたマラソンでは、日本の男子選手が今大会初の銅メダルを獲得した。心から祝福したい。
 デフリンピックには課題もある。まず、日本であまり知られていないことだ。6年前に日米独で実施された障害者の社会参加に関する国際比較調査では、「パラリンピック」の日本での認知は94.0%とトップだったのに、「デフリンピック」については2.8%と極端に低かった。
 認知度の低さは、競技者への支援の不十分さにもつながっている。
 今回、日本選手らの渡航費のうち、3分の2は国庫補助が見込まれるが、残りは競技団体の支援がなければ個人負担となる。仕事との両立には企業など勤務先の協力も欠かせない。スロバキアで予定されていた2011年冬季大会は、運営費を確保できず直前に開催中止となった。五輪に比べ、支援は乏しいというしかない。
 デフリンピックは、ろうスポーツ選手の競技参加の拡大や、障害などを理由にした差別のない環境づくりをなどをミッション(目標)に掲げる。先ごろ成立した障害者差別解消法も、社会の障壁を取り除く「合理的な配慮」を国などに求めている。障害者の社会参加に対する支援をもっと手厚くする必要がある。
 世界のトップを目指す選手らま姿は、すべての人に勇気や感動を与え、長い目で障害者理解につながるはずだ。
 この競技大会をもっと知り、選手らにエールを送ることから始めたい。

以上は、2013年7月26日付けの神戸新聞朝刊5頁に掲載されていた内容を一部分だけ補足説明をしたものです。実は、この「社説」については、私が普段活動している神戸市内の手話サークルや神戸ろうあ協会でも、大きく取り上げられました。その理由は、普段はあまり気に掛けられていない「ろう者」「聴覚障害者」についての記事内容だからです。今後も、ろう者や聴覚障害者について取り上げられている記事について注目していきたいと思っています。

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