寄宿舎
私の同僚に聴覚障害者がいる。彼は、小さい頃、耳が聞こえなくても近所の子供たちと普通に遊んでいたが、6歳になると彼だけが遠くにあるろう学校に入ることになったそうだ。
何もわからないまま母親にろう学校へ連れていかれて、寄宿舎に荷物を運ぶと、母親がいなくなってしまい、寂しくて泣いたことを覚えているという。
寄宿舎で先輩たちは手話で話していて、彼は最初何もわからなかったそうだが、すぐに手話を覚えて楽しい生活になったという。トレイに幽霊が出るなどと先輩に脅されたり、同級生と一緒にいたずらをしたり、消灯後に後輩を引き連れて抜け出したりと、いろいろあったようだ。
でも、寮母や先輩から学び、後輩の面倒を見て、社会生活のルールを身に付けられたのは、親元から離れて寄宿舎で学んだ良い面だったという。
彼は今私と同じ会社で仕事をしているが、健聴者ばかりで手話が通じなくても、筆談をしたり、みんなに簡単な手話を教えたりと、前向きな姿勢に頭が下がる。それも寄宿舎での集団生活で鍛えられた彼のバイタリティなのだろうと思う。
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