うんこ

うんこ

人間が死んだらお葬式するやろ。きれいに花で飾ってもろて。みんなにお参りしてもろて、かわいそうに言うて泣いてもろて、お寺さんに拝んでもろて、人間だけがそんな大層に葬式してもろてずるいと思わへんか。動物も植物もみんな生き物には命があるのや。人間と同じ尊い命を持っているのや。便所は、人間が生きるために殺して食べた動物らのお葬式の場所なんや。家のお仏壇をきれいにしておくのと同じで、人間が食べた生き物のお葬式の場であり、お墓と思うて感謝の気持ちで、便所はいつもきれいにしておくもんや。「便所を見たらそこの家がわかる」と言われるやろ。それは、優しい心があると、便所をきちんときれいにする心が自然と出てくるからや。「人間が万物の霊長」や「人間が動物の中で一番偉い」と言うのやったら、人間にしかできんことを、他の動物にしてあげてこそ、万物の霊長と言えるのや。わかったか。うんこが汚いなんて言うたらあかんぇ。明日からうんこに手を合わしてあげや。

お寺でも便所の掃除には気を使います。いつ参詣の方がこられてもきれいなように気を付けています。便所を見ればお寺がわかる!かもしれませんよね。

悪いことしても、誰も見てへん思うたらあかんぇ。「見てござる」言うて、「友達が見てござる、兄弟姉妹が見てござる、親が見てござる、隣の人が見てござる。世間さまが見てござる、ご先祖さんが見てござる、神様、仏様が見てござる。」本当に困ったときにも、ご先祖さんや神様、仏様が見てて、ちゃんと助けてくれはる。

「見てござる」著者の玉置さんのように、その地に生まれ、育ち、暮らし、家を構えて先祖をまつる、いわば「老舗の生き方」があってのもののように感じました。

「無縁社会」の現代を生きる私たち、何ごとも目に見えて正確な答えがないと信じることさえ出来なくなってきています。そんな現代人の心の貧しさみたいなものを「見てござる」で改めて痛感しました。まあそれにしても毎日お寺の前の溝にはゴミやたばこのポイ捨てが多いこと。「見てござる!」ですね。

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