耳が聞こえる人々にとって、手話はどのような存在であるべきか。ここで、僕なりの考えをお伝えしたい。
僕が会社をつくったのは「聴覚障害者をめぐる社会問題をITで解決したい」と考えたからだが、もちろん、デジタル技術がすべてを解決してくれるわけではない。
まずは、聴覚障害者への理解と手話の基礎知識を社会にもっと広める必要がある。せっかくの技術も、それがなければ力を発揮できない。
だから、現状では、僕らが開発した遠隔手話通訳システム「モバイルサイン」は、自動体外式細動器(AED)と同じようなものでいいと思っている。
つまり「どこにあるか、どうすれば使えるか」さえ覚えていてもらえば、手話を知らなくても、いざというときに聴覚障害者に手を差し伸べられる装置だということ。
聴覚障害者にとってどんなことが困難になるかは、少しの想像力を働かせてもらえば分かるはずだ。
とはいえ、今のところモバイルサインが設置できたのは東京都内の数カ所の駅と、ごく一部のデパートのみ。
心肺蘇生法の基礎知識と同じように、簡単な手話を多くの人が身につけてくれれば、聴覚障害者はどんなに心強いだろう。
残念ながら、日本では手話が独立した一つの言語であり、社会に必要なインフラだという認識があまり広まっていない。
米国では、多くの大学で手話を第2言語として学べるし、手話ができる政治家もとても多い。
ニュージーランドでは手話が公用語として認められていて、2011年にクライストチャーチ付近で地震が発生したときには、被害を伝えるテレビニュースの第一報から手話がついていたという。
(大木洵人・シュアール代表、談)
以上は、http://tkgb.seesaa.net/article/401380006.htmlからの引用です。
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