皆様、こんにちは。NPO法人ウィズユきたごよう副理事長です。
野菊のように生きる そして あなたを愛してる04 ~地域に生きるある婦人の物語~
今現在は新型コロナウイルス感染症拡大防止のためにNPO法人ウィズユきたごようの活動は自粛期間中です。ここで、平成時代に創設し、今も続くNPO法人ウィズユきたごようの初期のころのお話しと理事長の考え方なとについて何回かに分けてご紹介していきたいと思います。
【神戸市北区北五葉】
鈴蘭台駅前は相変わらずの雑然さで、変わったことは、携帯ショップがタコ焼き屋に様変わりしていたことくらい。
北区社会福祉協議会の車に便乗させてもらい、北五葉へと向かう。
最寄り駅は神戸電鉄・西鈴蘭台で、一戸建住宅と UR が混在する、鈴蘭台地区の典型的な住宅地である。
何の変哲もない 2 階建のハイツ。
10 分ほど走って、到着したのは、拍子抜けするほどフツーのハイツであった。エントランスを開けて入ると、1 階の左の部屋に、ちょっと変わった表札が出してある。
「NPO 法人 ウィズユきたごよう」、「北五葉婦人会」。
そして、玄関を開けると、そこには、 靴、靴、靴、靴、靴、靴…。
さらに、2LDKの間取りのフツーの住宅で、18人のおじいちゃん・おばあちゃんが、ワイワイ、ガヤガヤ、氷川きよしの「ズンドコ節」に合わせて、嚥下体操の真っ最中。
ここは、「NPO 法人ウィズユきたごよう」が運営する、「生きがいデイサービス」の会場だったのだ。
そうしている間に、フツーの住宅の台所で、調理スタッフ 3 人が、利用者全員の昼食を用意し、配膳が始まる。
これだけの人数の食事を、一般家庭の台所で作るのだから、一体どうやって作っておられるのか、とても不思議だ。
本日のメニューは、十穀米のカレー(トッピングに茄子、かぼちゃ、さつまいも)、ゆで卵とワカメとジャコの入ったサラダ(ジャコは塩分除去済み)。ひとり一人の食欲や心身状況に合わせて、大盛または小盛がサーブされて行く。
食後には、淹れたてコーヒーも供されるらしい。
ああ、食べたい…。
そんなヨコシマなことを考えている私に、責任者の近藤淑 ひで 實 み
さん(74 歳)が説明してくださる。
「今日の玉葱は、○○さん(利用者さん)が、ご主人と作られたのを差し入れしてくださって、それを使うてます。テーブルに、折り紙で作った屑入れが沢山置いてあるでしょ?
それは□□さんの手作り。
あそこに飾ってあるバルーンアートも、もう空気が抜けてしもたけど、ここに来てはる方の手作りなんよ。」
そうだ、さっきからの違和感は、それだ。ここには「お客さん」がいない。利用者さんではあっても、お客さんではない。やかましいくらい、みなさん喋りまくっておられる。
スタッフの方も含めて、ひとりも「お客さん」がいないのだ。
そのことを近藤さんに伝えると、近藤さんは「そりゃ、平成 13 年にここ
を始めた時から来てくれてはる人ばっかりやし、お客さんと違う」とケロッとした表情で言われる。
この、小柄で美しい婦人が、何の補助も助成もなく、「生きがいデイサービス」を始められたのは何故だろう。
ひとり「お客さん」の私は、後刻改めて近藤さんとお会いする約束をして、トボトボと坂道を下りた。
このシリーズはインターネットで
「野菊のように生きる そして あなたを愛してる ~地域に生きるある婦人の物語~」
を検索すると出てくる資料からの引用です。
続きはまだまだありますので今しばらくお待ちください。